2026.01.05
学び
あなたが育てている苗木が、防災になる理由

森はどうして大事なの?
戻り苗が目指す「崩れない森づくり」
森は、私たちの暮らしと切り離された存在ではありません。
実は、森は日常では気づきにくいかたちで、私たちの命や暮らしを守っています。
「戻り苗(MODRINAE)」は、どんぐりから育てた苗木を、再び森へ返す観葉植物。
なぜ、私たちはこの取り組みを行っているのでしょうか。
それは、人も木も健康に生きられる、新しい「人と森の関係」をつくりたいからです。

戻り苗が目指す森づくりとは
戻り苗が目指す森づくりの大きなテーマの一つが、
「崩れない森」──土砂災害が起きにくい森です。
戻り苗を運営する株式会社ソマノベースは、
「土砂災害による人的被害をゼロにする」というミッションを掲げています。
では、なぜそのミッションのために
「森を育てること」、そして「戻り苗」という仕組みが必要なのでしょうか。
その答えは、森がもつ本来の力にあります。
森は「天然の防災システム」
健康な森は、大雨や台風のとき、私たちを守る天然の防災システムとして働きます。
その主な役割は、次の2つです。

① 水平根による「ネット効果」
森林では、多くの樹木が地表に沿って水平方向に根を張ることで、
根同士が網目(ネット)のように広がっています。
この水平根が、隣り合う樹木の根と互いに絡み合うことで、
表層の土壌全体を面として支え、土砂の動きを抑える効果があると考えられています。また、落ち葉や腐葉土が積もった森林土壌は、
雨水を吸収・保持しながら、急激な流出を防ぎます。
これにより、表層崩壊や土砂流出のリスクが軽減されます。
② 垂直根による「杭(くい)効果」
樹木の中には、地中深く垂直方向に根を伸ばすものがあります。
これらの垂直根は、斜面の下にある堅い岩盤や安定した地層の隙間にまで到達し、
まるで杭のように樹木と土壌を固定します。
斜面を動かそうとする力が働いたとき、
この垂直根が抵抗力となり、崩壊の発生や土砂の移動を抑制します。
さらに、土砂崩れが起きた場合でも、
立ち並ぶ樹木がクッションとなり、落石や流木の勢いを弱める役割も果たします。
「森を育てる」必要がある背景
「森は自然に任せておけばいいのでは?」
「木を伐るのは、環境に悪いのでは?」
そう思う方も多いかもしれません。
しかし、日本の山の多くは人工林です。
戦後、木材需要に応えるために植えられたスギやヒノキの森は、
人の手入れを前提につくられた森。放っておくと、逆に弱ってしまいます。

手入れされない森で起きること
① 森の中が暗くなる
木が密集しすぎると光が地面に届かず、下草や低木が育ちません。
やがて、木が倒れたあとに次の森が育たなくなります。
② 木が細く弱くなる
栄養を奪い合い、幹は細く、根も浅くなります。
結果として、風や雨で倒れやすい森になります。
③ 地面が裸になり、土が流れる
木を伐ったあとに植林や管理がされないと、
雑草に負けて木が育たず、土砂流出の原因になります。
こうした弱った森では、大雨や台風の際に倒木が一斉に発生し、
川をせき止め、決壊することで大きな被害につながることもあります。
これは、毎年全国で起きている現実です。
ソマノが「森を育てる」理由
ソマノベースは、創業者の奥川が紀伊半島大水害で友人を亡くした経験から生まれた会社です。
「後悔したくない。させたくない。」

その想いを原点に、
- 森とどう関わるかの目的を言語化し
- 人を巻き込む仕組みをつくり
- 実際の植林や管理まで支援する
森づくりを、上流から下流まで一貫してサポートしています。
森は、「一度植えたら終わり」ではありません。
育て続けてこそ、防災の力を発揮するのです。
「戻り苗」は、みんなが参加できる森づくりの入口
戻り苗は、
自宅やオフィスで育てたどんぐりの苗木を、
約2年後に災害リスクのある森へ返す取り組みです。
- 自分が育てた苗が、森の一部になる
- やがて、どんぐりを落とす木に育つ
- そのどんぐりが、次の森へつながる
戻り苗は、森づくりを「自分ごと」にする仕組みであり、
同時に、山にとって本当に必要な健康な苗木を増やす活動でもあります。

まとめ
森は「守る」だけでは守れない
森は、天然の防災システムです。
しかし、それが機能するのは、健康に育てられた森だけ。
- 手入れされない森は、災害リスクを高める
- 育てられた森は、人の命を守る
だからこそ、私たちは森を「育てる」活動を続けています。
そして、その入口として生まれたのが「戻り苗」です。
あなたが育てる一鉢が、
未来の災害から、誰かの命を守る木になるかもしれません。